理解を設計するという仕事【連載12】(最終回)
CODEフレームワーク
企業活動の多くは「伝えること」によって成り立っている
企業の仕事の多くは、
本質的には「伝えること」に関係しています。
・サービスの価値を説明する
・新しい技術を理解してもらう
・社内の方針を共有する
・顧客に意思決定してもらう
しかし現実には、こうした場面で
次のような問題が頻繁に起きます。
説明しているのに理解されない
資料はあるのに意思決定が進まない
情報は多いのに要点が伝わらない
このとき多くの場合、
原因は「説明不足」だと考えられます。
しかし、本当に問題はそこなのでしょうか?
情報を増やせば伝わるわけではない
伝達がうまくいかないとき、
多くの組織は次のように対応します。
スライドを増やす
説明を詳しくする
追加資料を作る
つまり
情報量を増やす
という方向で解決しようとします。
しかし実際には、
情報が増えるほど理解は難しくなることも少なくありません。
なぜなら問題は
情報量ではないからです。
多くの伝達問題は「構造不足」で起きている
情報は存在している。
説明もある。
資料もある。
それでも理解されないのは、
・何が重要なのか
・どの順序で理解すればよいのか
・要素同士がどう関係しているのか
という構造が見えていないからです。
人は情報を理解するのではなく、
情報の構造を理解します。
構造が見えたとき、
初めて意味が生まれます。
伝達とは「説明」ではなく「理解設計」の問題である
もし問題が
説明不足ではなく
構造不足だとしたら、
必要なのは説明技術ではありません。
必要なのは
理解を設計すること
です。
つまり、
・何を理解してもらうのか
・どの順序で理解するのか
・どの関係を見せるのか
を最初に設計する必要があります。
伝達とは、
単なる「説明の問題」ではありません。
理解設計の問題
なのです。
コンテンツには順序がある(CODE視点)
この連載で紹介してきた
CODEフレームワークは、
複雑な情報を整理し、
理解を設計するための思考フレームワークです。
CODEは4つの要素で構成されています。
C
Cognitive
問題をどう認知するか
O
Organize
情報の構造を整理する
D
Design
構造を視覚化する
E
Explain
理解を再構成する説明
重要なのは、
この4つには順序があるということです。
多くの組織では
Design
Explain
から始まります。
つまり、
スライドを作る
動画を作る
プレゼンを作る
といった表現の段階からスタートします。
しかし本来必要なのは
その前の段階です。
Cognitive
Organize
つまり
・問題の定義
・情報構造
・理解の順序
という上流設計です。
この段階が整理されていなければ、
どれだけ優れた資料や動画を作っても
本質的な伝達問題は解決しません。
「作れること」の価値は下がっていく
AIの進化によって、
文章生成
画像生成
動画生成
といった表現技術は急速に一般化しています。
つまり、
「作れること」そのものの価値は、
相対的に下がっていく
ということです。
もちろん、
表現技術はこれからも重要です。
しかしAI時代において
本当に差が生まれるのは、
・何を理解してもらうのか
・どの順序で理解するのか
・どの構造を見せるのか
という
理解設計
の部分です。
AIは表現を支援できます。
しかし、
何を理解させるべきか
という設計までは
自動では決まりません。
だからこそこれからは、
表現の前にある
理解設計
という能力の価値が
ますます重要になっていきます。
企業活動そのものが「理解設計」を必要としている
企業活動の多くは、
顧客に理解してもらう
社内で認識を揃える
意思決定を促す
というプロセスによって進みます。
つまり企業の成果は、
理解の質
に大きく依存しています。
しかし多くの組織では、
理解そのものは
偶然に任されています。
資料を作り、
説明し、
伝わることを期待する。
しかし本来は、
理解も設計できるもの
です。
そして理解が設計されれば、
判断も変わります。
理解設計という仕事
ここまでの話をまとめると、
一つの仕事の領域が見えてきます。
それが
理解設計
です。
理解設計とは、
複雑な情報を
理解できる構造と順序に再構成することです。
この仕事は、
特定の職種だけのものではありません。
例えば
マーケティング
プロダクト説明
技術広報
教育コンテンツ
社内コミュニケーション
これらの多くは
本質的には
理解を設計する仕事
です。
この連載のまとめ
この連載では、
AI時代において重要になる
理解設計と判断支援
という考え方を整理してきました。
重要なポイントは
次の3つです。
1
多くの伝達問題は
説明不足ではなく構造不足である
2
理解とは
情報ではなく構造を認識することである
3
説明の目的は
情報伝達ではなく判断支援である
複雑な世界では、
理解そのものが価値になります。
そしてその理解は、
偶然生まれるものではありません。
設計することができます。
最後に
この連載では、
AI時代において重要になる
「理解設計と判断支援」
という考え方を整理してきました。
複雑な世界では、
理解そのものが価値になります。
そしてその理解は、
偶然生まれるものではありません。
設計することができます。
情報を増やすのではなく、
構造を明らかにする。
説明を増やすのではなく、
理解を設計する。
それが、
CODEフレームワークの考え方です。
ここまで読んでいただき、
ありがとうございました。
追記
このシリーズは今回で一区切りになります。
ただ、書きながら一つだけ、
改めて感じたことがありました。
それは、
なぜ私たちは
「理解設計」という考え方を
ここまで重要だと感じているのか
ということです。
次回は補足記事として、
「CODEという思想」
について、
もう少しだけ書いてみようと思います。
著者プロフィール
金井雄三。ゼブラクリエイト代表。複雑な情報を整理し、相手の理解と判断を支えるための設計と表現に取り組む。ホワイトボードアニメーション制作や説明設計の実務を通じて、CODEフレームワークを提唱。
