AI時代のクリエイターに求められる新しい役割【連載11】
CODEフレームワーク
AIが作れる時代に、クリエイターの価値はどこにあるのか
最近よく聞くようになった言葉があります。
「AIがデザインを作る」
「AIが動画を作る」
「AIが文章を書く」
実際、多くの制作作業は
すでにAIによって自動化され始めています。
画像生成
動画生成
音声生成
文章生成
こうした技術を見ると、
ある疑問が生まれます。
クリエイターの仕事はこれからどうなるのか。
もしAIが制作を担うようになるなら、
人間のクリエイターは何をするのでしょうか。
多くの議論は「表現」に集中している
AIとクリエイターの議論の多くは、
次のようなテーマに集中しています。
AIはデザインを作れるのか
AIは動画制作を代替するのか
AIはクリエイティブを奪うのか
つまり議論の焦点は
表現
です。
しかしここには
大きな見落としがあります。
クリエイティブの本質は
必ずしも表現ではない、という点です。
クリエイティブの本当の仕事
クライアントがコンテンツを作るとき、
本当に求めているものは何でしょうか。
動画でしょうか。
デザインでしょうか。
コピーでしょうか。
もちろんそれらは重要です。
しかしクライアントが本当に求めているのは
理解です。
たとえば
サービス紹介動画
教育コンテンツ
プレゼン資料
マーケティングページ
これらの目的は
単なる表現ではありません。
目的は
「相手が理解できること」
です。
そして理解した結果、
人は判断します。
買う
導入する
学ぶ
参加する
つまりクライアントが求めているのは
理解 → 判断
というプロセスです。
クリエイターの役割は「制作」ではない
ここで視点を少し変えてみます。
もしコンテンツの目的が
理解と判断だとしたら、
クリエイターの仕事は
何になるでしょうか。
単に動画を作ることでしょうか。
単にデザインを作ることでしょうか。
そうではありません。
本当の役割は
理解を設計すること
です。
複雑な内容を整理し
意味を構造化し
理解できる形にする。
そのうえで
映像
図解
文章
ストーリー
として表現する。
つまり
制作は後半の仕事なのです。
クリエイターの仕事はDEだけではない
CODEフレームワークで見ると、
この問題はとても分かりやすくなります。
CODEは4つのプロセスで構成されています。
C
Cognitive(問題認識)
O
Organize(情報整理)
D
Design(視覚化)
E
Explain(説明)
一般的な制作会社が担当しているのは
多くの場合
DとE
です。
つまり
デザイン
表現
制作
です。
しかし本当に重要なのは
その前のプロセスです。
C
問題をどう認識するか
O
情報をどう整理するか
この2つが決まらなければ
どんなに美しいデザインを作っても
伝わりません。
つまり
クリエイティブの価値は
DEではなくCOにある。
これが
AI時代において重要になる視点です。
AI時代に起きること
AIは今後、
次のことをどんどん得意にしていきます。
画像生成
動画生成
コピー生成
レイアウト生成
つまり
DE(表現実装)
です。
しかし一方で
AIがまだ苦手な領域があります。
それは
問題の定義
意味の構造化
理解プロセスの設計
です。
つまり
CO(構造設計)
です。
この領域こそが
人間のクリエイターの価値になります。
新しいクリエイターの役割
これからのクリエイターは
単なる制作担当ではなく
理解設計者
になります。
仕事は次のように変わります。
◼️従来
制作
↓
納品
◼️これから
問題整理
↓
構造設計
↓
理解設計
↓
表現実装
つまり
仕事の重心が
上流へ移動する
のです。
まとめ
AIは多くの制作作業を
自動化していきます。
しかしそれは
クリエイターの価値がなくなることを
意味しません。
むしろ逆です。
重要になるのは
理解を設計する力
です。
問題を認識する
情報を構造化する
理解の順序を作る
そのうえで
表現を作る。
これが
AI時代のクリエイターの役割です。
次回予告
この連載ではここまで、
なぜ複雑な情報が伝わらないのか
CODEフレームワークとは何か
AI時代にクリエイターの役割がどう変わるのか
を整理してきました。
しかし本当に重要なのは、
クリエイター側の変化だけではありません。
AIによってコンテンツ制作が加速する時代だからこそ、
クライアント側にも
何を理解してもらうのか
どの順序で伝えるのか
どの情報が判断に必要なのか
を設計する力が求められるようになります。
次回はいよいよ最終回です。
テーマは
「理解を設計するという仕事」
なぜこれからの時代に
「理解設計」が重要になるのか。
そしてそれが、
企業・教育・コンテンツ制作において
どのような価値を持つのかを整理します。
著者プロフィール
金井雄三。ゼブラクリエイト代表。複雑な情報を整理し、相手の理解と判断を支えるための設計と表現に取り組む。ホワイトボードアニメーション制作や説明設計の実務を通じて、CODEフレームワークを提唱。
